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三浦 2期続いたブッシュ共和党政権の後を引き継ぐのは、オバマ民主党が勝利ということになりました。共和党マケイン候補との争いが拮抗する中で、やはり大きなターニングポイントとなったのは9月15日、リーマン・ブラザーズの経営破たんだったと思われます。そして同じく29日には、一度は米政府と議会の間で大筋合意がなされたはずの金融安定化法案が下院で否決された。そしてNYダウが暴落。あれは共和党にとって逆風となったのではないかと。そこの部分をどうみておられますか。
木村 マケイン氏は法案を否決した下院と同じ信条を持っていましたからね。自分の信条と経済の安定のどちらをとるかという点で、オバマ氏の方が一枚も二枚も上を行ってしまったということだと思います。今回の金融ショックは、「ポールソン・ショック」と名付けてよい事象ですね。日本が10年もかけてしまった不良債権処理の環境整備を、米国は1年でやり終えてしまった。現場で汗をかいていた立場から、素直に米国の処置を見ると、「よくぞ、ここまで素早くやったな」という感じです。特に、リーマンを潰しておいて、メリルリンチをバンク・オブ・アメリカに統合させるという離れ業を同日にやり、しかも8.5兆円でAIGを救い、返す刀で7000億ドル規模の金融安定化法案を持ってきた。「こりゃ、すげぇな」と感嘆していたら、下院に否決されてしまった。「なぁんだ、ポールソンも神様じゃねぇんだな」という話になってしまった。その結果、ポールソンの市場に対する神通力が消えうせて、信用不安が全世界で巻き起こったという感じなのではないでしょうか。
三浦 ポールソン財務長官の政策が正しかったかどうかではなく、実現できなかったという点が悲観されたということですね。
木村 そうです。ゴールドマンサックスを率いていた凄腕のCEOですら駄目だったという現実を目の当たりにしたショックがありましたね。そのダメージを補いきれるかという問題がまずあって、もう一つは、新政権になったとき誰がそれを担うのか、という問題があります。オバマ氏が大統領になったとき、ポールソン氏に続投を依頼するのか、それとも誰か別の人物が出てくるのか。ただ今回の危機は、マーケットのヒダまでわかっている人がやらないと危ない。机上の空論で辣腕をふるったら、せっかく治癒しつつあるものがまた弾けてしまうかもしれない。ですから、「誰がやるのか」はとっても大事だと思いますね。
三浦 これだけの経済施策を出しているにも関わらず、報道によればポールソン氏自身は、(新政権が発足する)来年1月以降は財務長官にとどまるつもりはないようですね。では誰がポールソンに取って代わるのかという疑問もあるのですが、いずれにせよ「マケイン(共和党)の路線だったら今後も不安」というムードが市場にあって、オバマ氏をフォローする空気になったようです。市場というところには、ムードというのはやはりありますから。彼の“CHANGE”に期待が集まっているところはあるようですね。
“CHANGE”という路線を考えた時に、今後もドルは基軸通貨であり続けるのか、それとも滑り落ちるのかという点ではどうお考えですか。
木村 私が考えるには、通貨というのは国家・地域の総合力なのです。経済力もある、軍事力もある、文化力もある、あるいは外交力もある、ということで考えると、米国の底力は抜きん出たものがある。「基軸通貨」というものがいらなくなったり、多元的な通貨制度になってしまったりしたのなら別ですが、何らかの国際通貨、ハードカレンシーというものを必要としている人々がたくさんいるという大前提が崩れないのであれば、「ドルが基軸通貨でなくなった場合はどの通貨がその役割を担うのか」という大問題が発生します。この大問題が解決されない限り、ドルの地位はそれほど揺らがないと思います。
「次の基軸通貨はユーロだ」という人もいましたが、10月現在ユーロはガタガタになっています。「どっちが弱いかな」という比較はあるかもしれないけれども、では軍事力はどうだ、外交力はどうだ、と考えていくと、「何だかんだ言っても、今回だって米国は世界をまとめているではないか」という話になる。そのように考えると、ドルが基軸通貨であるという環境が今後10年や20年で大きく変わるとは考えにくい。ただしドルの地位が相対的に下がっていくことは間違いないでしょう。実際、保守的な投資家である政府や中央銀行が持っている通貨のポートフォリオは、以前はドルが8割だったのが今は7割を切って6割近くなっている。それをユーロが埋めてきています。そういう形になっていますから、このトレンドは多少ユーロが失敗しても続いていくのではないでしょうか。
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株式会社フィナンシャル 代表
株式会社フィナンシャル、代表取締役社長兼CEOで金融・企業財務に関する総合コンサルティングを行っている。また同時に金融経済月刊誌『フィナンシャル ジャパン』を発行するコンテンツ制作会社ナレッジフォア株式会社、代表取締役会長。現在は経済同友会 消費者問題委員会 副委員長、日本内部統制研究学会 理事、日本公認不正検査士協会 評議員、日本サッカーミュージアム アドバイザリーボード座長などを務める。

トレイダーズ証券 執行役員 マーケティング部担当
大学卒業後から商品・為替・証券の営業および運用に従事。各メディアへの出演も多く、日経CNBC金曜日「前場NOW!」への電話出演や日本証券新聞「六本木FXナビゲーター」への執筆など多方面で活躍中。



